神のゴ-ストライタ- ー 聖書を作った古代ロ-マの奴隷たち聖書を作った古代ロ-マの奴隷たち

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聖書の文章を「書いた」のは誰だったのか

古代ローマ時代、文書・文芸作品を「創作」するのはしかるべき立場の人間だったが、それを「筆記」するのはもっぱら、秘書・書記・写字生職の奴隷や解放奴隷であった。それはローマ時代に成立した新約聖書も例外ではなく、「書いた」人物の名前まで記されている箇所がある。考古学上の理由から「書いた」のが使徒本人ではないと考えられる手紙もある。当時の口述筆記に、いったん速記記号に圧縮して書き取り後から文章にふくらませる方法が使われていたことを考えると、そこには「書いた」人物の編集能力や、解釈すら含まれている可能性もあるかもしれない。
では、古代ローマ社会の奴隷の目に、イエスはどういう存在に映ったか。福音書に書かれているイエス像は、当時の社会から見てどういう存在なのか。有力者が改宗すると、しばしばその家――ファミリアに属する大勢の奴隷たちもまとめて改宗となった時代、そうした奴隷たちにとって宗教とは、キリスト教とは何だったのか。
古代ローマに生きたさまざまな立場の奴隷たちの世界を見わたしながら、ローマ社会とくに奴隷制度という角度から、新約聖書について考察する。

聖書の文章を「書いた」のは誰だったのか。古代ローマ時代、文書や文芸作品の制作には、さまざまな形で奴隷がかかわっていた。書記、朗読者、手紙の運搬人…。新約聖書や外典に残る彼らの痕跡を探り、奴隷の世界という角度から聖書について考察する。

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