天下無敵をめざす生き方

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誰とも勝敗優劣強弱を競わない。
比較する対象があるとすれば「昨日の自分」だけ。

中高生のための武道・修行・身体論

「天下無敵」という無限に遠い目標をめざす旅程においては、
修行者は誰も「五十歩百歩」です。
無限の旅程の中で、
自分が他の修行者より何キロ先まで行ったとか、
単位時間内にどれだけ走破したとか、
そんな相対的な優劣を競うことには何の意味もありません。

【本文より】
武道では勝敗強弱巧拙遅速を競うということをしません。それが「居着き」を生み出すからです。居着きは武道の最大の禁忌です。居着いたら終わりです。居着きとは、具体的には足裏が地面に貼りついて身動きできない状態を指す言葉ですけれども、もう少し広義にとれば、行動の選択肢が限定されている状態、同一の動作を反復することもそうです。

他者との相対的優劣を競わないのは、それが人を居着かせるからです。勝負を争う場合、人は負けると「負けに居着き」ます。屈辱感や敗北感にいつまでも囚われて、次のフェーズに進むことができない。あるいは「次は勝つ」という限定的な目標に居着いてしまう。

逆に、勝てば勝ったで、「勝ちに居着く」ということが起きます。ある意味では「勝ちに居着く」ことの方が、「負けに居着く」ことよりも危険かも知れません。勝ったという成功体験に居着いてしまうからです。人は一度成功すると、その成功体験を手放すことに強い心理的抵抗を覚えます。同じ成功体験を繰り返そうとする。でも、修行とは「居着かないこと」です。「勝ちに居着く」者は「負けに居着く」者と同じく、連続的な自己刷新機会を放棄することで修行から脱落した者なのです。

【目次】
まえがき
武道的思考
(修行は競争ではない/武道の変質の歴史/道の場――道場/武道はストレスフリーである/畏怖と同調にむかう道)
凱風の思想
正中線
武道的身体運用の基軸
天下無敵
体軸と外部の力
身体の豊かな可能性
後手に回る
残心について
修行の半世紀
呼吸法について
円筒形の身体
『武道的思考』韓国語版序文
私の原点
あとがき

誰とも勝敗優劣強弱を競わない。比較する対象があるとすれば「昨日の自分」だけ。中高生のための武道・修行・身体論。

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